絵のない絵本 - ハンス・クリスチャン・アンデルセン

僕の年末までの土曜日を突如襲ったつまらない講義に、少しだけ抵抗すべく、本を読んでやり過ごす事にした。そのために売店で適当に選んで買った本。有名なアンデルセンの童話といっても、この本は知らなかった。
話の内容は、月が若い絵描きに、自分が毎夜見たものを語って聞かせるというもの。短編集に近い。各国にいる誰かに焦点を当てて、その周りで起きる些細な出来事から大きな出来事までを詳しく語って聞かせるので、絵描きも、読み手もその国に行って、自分が見てきたかのような気分になる。月が語る楽しい話、幸せな話、救われない話、オチの無い話といった短編集の構成は、この前読んだ漫画の「できそこないの物語」に似ている。
女の子が意地悪されて、なぜ自分は意地悪をされるのだろう。と考える話が良かった。

「あんた、生き物を笑ったことがある?」と、ききました。するとお人形は頭を振ったように見えました