砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet - 桜庭一樹

とらさんにお勧めしていただいた。次の土曜日の講義で読んでやろうと考えていたら、あまりにも読ませる文章で、ついつい読みきってしまった。次どうしよう……。
アンデルセンの本を読んだ後で、何の因果か「人魚姫」を気取る女子中学生、海野藻屑と、社会という戦争で生き抜くための「実弾」を撃ちたい女子中学生、山田なぎさの話。読めば分かるが、藻屑に対して「気取る」と言うのはかなり酷い言い方で、クラスメートの気をひくため不思議な態度を取るのは、なぎさは「砂糖菓子の弾丸」と言うけれど、生き抜くための、彼女なりの立派な実弾だったと思う。

「だけどなぁ、海野。おまえには生き抜く気、あったのかよ……?」

藻屑が殺されるとき、彼女はそれを望んでいただろうか。藻屑が花名島をモップで叩きつける場面は、なぎさが言う「実弾」とは違うけれど、「砂糖菓子の弾丸」を撃ち続けてきた藻屑が、直接的な「実弾」を撃った所だと思うし、藻屑がなぎさと仲良くなりたがった事から、藻屑もやっぱり生き抜きたかったのではないだろうか。家出をもち掛けられた時はとても嬉しかったに違いない。
どんな親であろうが、子供にとって、親も生き抜くための実弾のひとつである。ストックホルム症候群なんて関係なく、慕っていた(生き抜くために慕わざるを得なかった)父に殺される時の悲しみは、とても深いものだろう。
悲しい話だった。
それにしても、GOSICKや他の作品はこのテンションや文体で書かれているのか気になる。次に読んでみたい。