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巫女,景清,化蝶記 – 皆川博子

※ ネタバレ前提で、ただのメモです



巫女

超能力者であることを否定したい一心で産まれた物語。結婚することで日常を得ることができた「私」は、子供が死んで煩瑣な生活がなくなり、自分の青春時代を思い返す余裕ができてしまった。巫女という自分の性質に奪われた青春時代を取り戻すために、チマと惣子の話を書いたのかもしれない。

景清

見える?見えない?ものすごく面白かった。場面転換がうまい。

口になさいますな。心のうちでは承知しておる。なれど、知らぬつもりでおります。そうせねば世が成り立たぬゆえ。

大人は子供よりもずっと賢いから井戸の事も知っているし、見えないものが何であるかも知っている。

偽りの経糸に、偽りの緯糸。織りあげた上に藍染め茜染め。金絲銀絲の縫いとりなせば、もはや布目も分からぬか。

宗教の下にあっても嘘を重ね、罪を重ねる大人たち。その結果死んでいったのは女の子だった。

化蝶記

小気味よい。

「おれが下手人と言ったら、何とする」
「私は帰るが」

人は実際に殺されているも、小道具や役者が揃えば舞台である。「私は帰るが」と言って帰ってしまい、何だか現実味を失った、お話の様な雰囲気を殺人現場に作った南北の狂言作者としての職人気質が窺える。